Road to 立体音響スタジオ (その1)
2023/1/21
- 神戸・塩屋 -
去年の夏、広島でDJした際、そのイベントを主催したSTEREO RECORD店主かんちゃんを通じて、ちょうど広島に別のイベントの為に来ていた森本アリさんと知り合った。
アリさんは旧グッゲンハイム邸 (以下、旧グ邸)のオーナー。
旧グ邸が所在する塩屋の町をおもしろ楽しい「場」にするべく、いわゆる広告代理店主導の「地域おこし」と一線を画する色んな活動をされている。
というより、後からアリさんがやってきたことを並べて眺めてみたら結果そうなってた。そんなふうに感じられ、大いに興味と好感を抱いた。
自分のスタジオ設立の話をしたら、色々紹介してくださるとのことで今回初めて塩屋の町へ。
そんなアリさんに加え、アリさんと一緒の音楽グループをやっている清造さんのおふたりに、塩屋の町や人や家や物件などいろいろ案内してもらった。
塩屋はとても入りくんだ坂の多い町。
以前、塩屋の町の地図を作る為に全ての道を踏破したアリさんや、町内カレンダーをポスティングした清造さんは、曲がりくねってどこに繋がるのか先が全く読めない道を、都度都度の目的地に向かって、時に道なき道をも自由自在に、縦横無尽に歩く、歩く、歩く。
色んな人の家にお邪魔して、リフォームやリノベーションの実例をご本人の解説付きで見せてもらったり。そのお家の方がそのまま別の物件見学に同行したり。
そんなハーメルンの笛吹きというかドラクエのパーティーというか、なノリは普段の自分の生き方や仕事の仕方と一緒でとてもしっくりくる。
森本家二階からの景色
とにかく歩いた。
清造さんの万歩計は1万5千歩を記していたが、急な坂や階段や時には草むらを行き来していたので、体感としては2万歩くらいあったとのこと。みんな元気やー。
その日はちょうどアリさんの誕生日というのもあり、アリさんのご家族に混じって一緒にお店で誕生日パーティーに参加する一幕も。
そんなこんなののち、ようやく宿泊させてもらう予定の旧グ邸裏長屋に戻る。
ちょうど帰ってきたタイミングで長屋の住人の方達が共同のリビングダイニングスペースでたこパをやっていたので同席させてもらう。
清造さんと買ってきた食材や町の名物、田仲豆腐店の店先に置いてある「ご自由にお取りください」なおからを調理したり。地もののヒラメと太刀魚の清蒸魚 (中華風蒸し)の仕上げに熱々に熱した油を魚にかける「じゅわーっ」という音を清造さんが録音してくれたり。
レシピはこちら
日本が誇る最高の音楽家/演奏家ASA-CHANGが旧グ邸のダイニングに残した書き置き。ASA-CHANGは鯛かー。しかも明石の。
夜も更けてそろそろ寝るか、と泊めてもらう2階の部屋に戻り、コートや上着を脱ぎ、忘れもの (確か飲みもの)を取りにリビングを往復するとまさかのドアがインロック!
清造さんや、前日のライブに来てくれた同じく裏長屋住民の大嶋さんと梯子を使って窓から侵入するか、その前に窓の鍵がかかっているか確認せねば、その為にスマホを長い棒にくくりつけて…….等試みること小一時間。
結局、翌朝やってくる管理の方が持っている合鍵を待つしかないという結論に至りリビングで寝ることに。
清造さんが貸してくれたニトリのコタツ用布団の暖かさが染みた。
朝はまた別の裏長屋住人の方がつくったおでんをいただく。これまた染みた。というか染みてた。ダシがおでんの具に。
さらに美味しいコーヒーもごちそうになり、無事予定通りの電車に乗り奈良へ向かう。
中野センター。とその中で唯一営業している店舗、ライオン。
スタジオ物件の話より滞在エピソードの割合の方がダントツに多い文章になってしまった。
物件のスペックやポテンシャルと同じくらい、スタジオを構える土地に、どんな人達が、どんなふうに生活しているのかが大事ってことよなーと再確認した、ということで。